とらひこ先生


13 風力発電機

何年か前、風力発電機を作ろうと思った。
太陽光発電はなんだかいかにも裕福でオシャレなエコロジストぽくってイヤだ。
それに第一、高価だもの。

弱い人にやさしい世の中になったっていうけど、
水道を止められたり、ガスを止められたり、電気まで止められたりして
悲しいことが起きてしまったというニュースを時々聞く。

いつの時代だってお上や大きい組織の本質は冷酷だ。
こりゃあ人ごとじゃあねえ、
将来にわたり、素っ寒貧だけには自信があるオイラだ。
なんぞ対策を立てとかないと・・・
と思ったのも、風力発電機を作ろうと考えた動機のひとつだった。
(我ながら情けねぇ動機だ。ウソでもいいから地球のため、環境のためと言っとけよ!)

しかしだ。素っ寒貧と居直りゃあ、電気ってほんとにそれほど必要かい?

テレビはいらねえや、レイヂィオで充分だ。冷蔵庫、洗濯機、炊飯器、これもいらねえ。
だけど明かりは欲しいなあ・・・
子供の頃、遊び呆けて暗くなって家に帰ったら、誰ぁれもいない。
ドキドキ、不安の風船が膨らみはじめる前に、スイッチをパチンと捻る。
眩いやさしい光、こいつにずいぶん助けられた。
やっぱり明かりだ。

ともしびだ、灯火だ。こいつが一番大切だ。             
                                  
                                             
飛行機みたいな格好の風力発電機はよく見かけるけど、あれは案外造りが難しそうだ。
北の風、西の風、東の風、南の風と向きを変えないといけないし、それに台風みたいな
強風の時は、上下に傾いて風を逃がす細工も必要らしい。
そんな面倒くさいことは出来る技も知識もない。
なんぞ良い方法はないかのお・・・。
                      
5月の空の鯉のぼり・・・
そうだ、鯉のぼりの竿のテッペンに付いている金色の飾り風車。
これだ、これだ。
東西南北、どっちから吹く風も拾ってクルクル回るじゃあねえか。
ロビンソン風速計と言ったかなぁ、お椀みたいな風杯がクルクル回る奴がある。
造りがシンプルで丈夫そうだ。simpl is best だ。

縦置き型だぁー、これで行こう。









船外機のエンジン部分
〜古い船外機を利用しようと思いついた〜

廃車置き場はダイナモの山だけど、
ありふれてるし、それに細工が難しそうだなあ・・・

なんぞ使えるものはないかのお・・・
あった、あった。
古い船外機だ。これなら港の隅にけっこう転がっている。
船外機は車以上にコンパクトにいろんな機能を効率よく詰め込んでいる。
それに回転すれば、とにかく電気の起こる機構になっているのがうれしい。
クランクシャフトの先っぽを旋盤で削って、そこにベアリングをかまして
永久磁石の付いたフライホイルをはめ込むとほとんど出来上がりだ。
あとはステンレスのボールみたいな風杯をフライホイルにつけて・・・
点火用コイルはいらないからそこにも発電用コイルをつけられるし・・・



点火用コイルと充電用コイル


フライホイルを外したところ




山の家で一人暮らしのお年寄りが、

谷川の流れで小さな水力発電機を回しているそうだ。

そのじいさんに会いたいなあ・・・。



        トップへ