12 鳴無(おとなし)
鳴無(おとなし)へ行ったのは 幼稚園へ上がる前だった 鈍い鉛色の船に乗って 酔っぱらった天狗達に連れられて 夢の欠片を集めるみたいにアアたよりない だけどその一コマ一コマはエラク鮮やかだ 海ナマズをぶら下げているのは大酒飲みの大工の新吉っちゃんカイ 波静かな横波三里の最奥の入り江に鳴無の浜があり 鳴無神社がある 船越の坂を越えられたのですか