5 いちようらん
いちようらんが咲いていた。 山道をほんの少し林に踏み入った場所で 山苔の上に20,30株が群生していた。 図鑑で見て憧れていた野生の蘭で、簡単には会えないだろうが なんとか出会いたいもんだと思っていた。 拍子抜けするくらいのあっけない出会いに驚いた。 ・・・こんな幸運もあるもんだ・・・ 喜びが時間をおいてふくらんで 山はふんわりと湿りやさしさに満ちている感じがした。 |
・・深山、高山にあり、派手さはないが、日本人好みの見飽きのしないランで、 「日本の野生ランのなかでは最も優れている」と絶賛する人も多い。・・ (引用 日本の野生ラン 主婦と生活社) |
花の時期には毎年訪ねていたが、この3年程はいろんなことが重なり行けなかった。 3年ぶりにテクテク出かけてみました。 |
いちようらんのある山(標高1700mくらいの尾根にほど近い林) 木々は新緑で山の様子は3年前と変わりなくみえたが 林に入るといちようらんのあった場所はすっかり変わっていた。 フカフカだった山苔は落ち葉や枯れ枝に覆われ勢いを失い、 群生していたいちようらんは5,6株を見つけるのがやっとで、 どの株にも花はおろか花芽も付いていなかった。 サテサテ この場所が昔のように蘇ることが出来るだろうか・・・ この場所のいちようらんはこのまま消えていくのだろうか・・・ 山にやさしい湿りが溢れるには随分長い時間がかかりそうだ。 |