3 安田川
しげるじの家は川のすぐそばにあり、トコトコと階段を下りるともう河原・・ちょっとした堰があり、そのおかげで流れが緩くなっている。
80を越したしげるじには絶好の釣り場で他の人もそこはしげるじの為に空けていたような気がする。
しげる爺という意味だろうが、誰もシゲルジイとは伸ばさずシゲルジ、シゲルジとリズムよく呼んでいたよ・・・
しげるじは川のそばの家で、一人で暮らし小さな釣具屋をやっていた。 鮎の時期には、囮鮎を売りけっこう人も立ち寄った。 川を遡る道の脇には、「みみなしサデあります。 黒岩釣具店」と書い たボール紙が何ヶ所かぶらさがり風に揺れていたよ・・・ ミミナシサデとは、みみなしを掬う経1m程の大きな網のことで、みみなし とはぼうずはぜのこと・・・ 他にも、銅板の鮎の囮かん、たも網なども自分で作り店に並べていた。 どの品もちょっと武骨で頑丈でやさしくて、どこかしげるじに似ていたなあ・・・ |
しげるじの家から2k程下ったやっぱり川のそばに、秀ちゃんのやっている「豆電球」という喫茶店があり、店の前にガスボンベを
積んだ車が止まっていたら、仲良しコンビのガスやのにいちゃんがテレビゲームの麻雀をやっていると思います。
喫茶店のとなりは、たぶん日本一小さい映画館「大心劇場」があり、これも秀ちゃんがやっています。
安田川へ出かけてみませんか・・残念ながらしげるじは何年か前に亡くなりもういませんが
「豆電球」でコーヒーをのんでボケーとするだけでも良い旅になると思います・・・。