犬も歩けば            


 12 川原で (物部川)


カワラナデシコ *雉*

堤防を下りて川原へ行く途中はちょっとした雑木林、
そこで雄のキジに会った。
ずいぶん物怖じしない奴で4,5mの距離に近づいても
逃げずに、キョトンととぼけた眼でこっちを見ていた。
黒光りする深緑色の羽を誇らしげに、
よくよく見ると顔の辺りの羽毛は不揃いでくたびれて
その顔はしたたかに年期が入っている。

オイオイ、おまえ、明日っからテッポウが始まるゼ。
そんな人なつっこい風じゃぁ、
真っ先にズドンと一発お終いだよ。

*寝っ転ぶ*

川原でねっころぶ。
いい気持ちなものでございます。

ねっころぶ、大声をだす、木に登る。
如何なもんですかい?

ついでですが、この川原
12月、いや1月までも
河原撫子が咲いてます。

もしかして
「ポランの広場」ってのは、ここですか?
亡きお父っちゃんのノートより、 *帰り道*

帰り道に、あのキジがまた居た。
こんな様子じゃあ、危なっかしいなぁ、
石を放って、人間さまの怖さを教えといてやろうか
とっ、止めた、止めた。
薄っぺらな同情や思いやりなんぞ
手前満足で嫌らしいだけだ。
                  
ここまで長生きした鳥だ、
明日、テッポウ撃ちが来る前に
風をくらってトンズラしてるだろう。




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